子どもと信頼関係を結ぶ「キホンの"キ"」
さて、今回は主に子どもたちと信頼関係を結ぶ基本中の基本としてやるべきことを紹介します。
主にチームスポーツや合唱団等の集団に使えます。当然、学校・保育園・学童などでも使えますし、むしろぜひ当然できていると答えられるようにしていただきたいです。
それは、
顔を見て、名前を呼び、挨拶をする
ということです。
当たり前中の当たり前なので、拍子抜けだったと思いますが、ご自身の行動を振り返ってみてください。
毎回、全員に対し、上の3つ
をできていますか??
意外とバタバタしているとできなかったり、
挨拶してくれない子にはぞんざいになってしまったり、
するのではないでしょうか。
エビデンス自体、出せませんが、子どもたちは自分たちのことをきちんと見てくれる大人を求めます。
毎回、きちんと行うことで、「この人はきちんとみてくれる人」という信頼度が高まります。
信頼度が高まることで、自身の伝える内容がより相手に深く届くことになるかと思います。
冒頭で子どもと書きましたが、当然大人のグループにも使えます。
簡単なことですが、非常に大切なことなので、もう一度ご自身の行動を振り返ってみましょう。
指導者の心は言葉の端に出る
学校の先生やサッカーのコーチ、保育士、ジムのトレーナーなどあらゆる指導職に大切なことは、”言葉”です。
わかりやすく相手に伝えられるか
相手の考えていることを汲み取れるか
相手の気持ちを盛り上げられるか
人と関わる仕事なので、コミュニケーションツールである言葉がとても大切になりますよね。
今回は、「指導者の心は言葉の端に出る」というテーマで話をします。
相手のことをどのように捉えているかは、表情や態度だけでなく、言葉にも出てきます。
例えば、
また
いつも
やっぱり
さすが
といった言葉の背景には相手の本心が見え隠れします。
「またお前か」
子ども相手と言えど、「お前」という言葉を使うことがそもそもナンセンスだと思いますが、このセリフは指導者が相手のことをよく思っていない気持ちがにじみ出てしまっていますよね。
確かに、「また」失敗したかもしれません。
しかし、相手も「あ〜、またやってしまった」と凹んでいるところへ追い打ちをかけるようにこういったセリフを吐かなくてもいいかと思います。
相手の自尊心を傷つけてしまうので、意識して避けましょう。
「いつもありがとう」
ただの「ありがとう」ではなく、「いつも」をつけることで、毎回あなたがやってくれているのは見ているよ、というメッセージになります。こちらはポジティブなケースですが、この「いつも」は当然ネガティブな意味を強める言葉にもなります。
例えば、
「いつもお前がゲームをダメにする」
というと、言われた側は、「オレはどうせダメだから、やめよう」と思ってしまいます。
つい、感情的になると使ってしまう言葉ではありますが、本当に”いつも”なんてことは滅多にあることではありませんので、ネガティブなことを話すときはやはり使うべきではない言葉ですね。
「やっぱりね」
「やっぱり」には、”思っていたとおり”という意味がこもるので、ネガティブな表現で用いられると言われた側は、ダブルでショックですよね。
学校や学童などでの犯人探しのときによく使われている印象がありますが、ぜひ良い犯人探し(誰かが掃除をしておいてくれたなど)のときに使い、ポジティブな意味を強めてほしいものです。
言われると日頃の相手の気持ちが透けて見えてしまうので、いい意味で使われたいですね。
「さすが!」
こちらはポジティブな意味で使われることがほとんどですね。
日頃の相手の能力を認めていることが見える言葉なので、言われる側はダブルで嬉しいですよね。
使いすぎるとヨイショかよと思われてしまいますが、たいていは言われて嫌な気分はしません。
ここぞのときに一言ポロッとこぼすように言うだけでも非常に効果的です。
これらの言葉のように、日頃相手をどのように思っているかが、言葉の端に出てしまいます。褒める言葉や、貶す言葉だけでなく、こうした言葉にも気をつけて言葉を用いていきたいですね。
できれば、心の底から相手のことをよく思い、こうした言葉が一切でない指導者だとかなり素敵だと思います。
いい指導者の条件とは?
先生やコーチなどの指導者にとって、「いい指導者」になることは誰もが望むことですよね。
今回は、いい指導者の条件について記してみました。
皆さんは、いい指導者の条件とは、何だと思いますか??
分かりやすい指導をすること
知識・実力があること
楽しい指導ができること
愛情をもって関われること
強い信念があること
などなど、100人いたら100通りの回答が返ってきそうな問いです。
私にとっていい指導者の条件は、
学び続け、変わっていける指導者
に尽きるかと思います。
指導者ではなく、選手側の目線ですが、元メジャーリーダーのランディ・ジョンソン選手も学び続けることの大切さを説いています。
また、ラグビー日本代表の元監督エディー・ジョーンズ氏も学び続ける姿勢を指導者に求めています。
こんな言葉もあります。
「学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない」
ーロジェ・ルメール(元・サッカーフランス代表監督/元・チュニジア代表監督)
指導者になっても学ぶことの大切さが、これらのことからも分かるかと思います。
ではどうやって学ぶ?
ではどのように学んでいけばいいでしょうか?
自然と学び続けられる人もいると思いますが、意外と学び続けることは難しいですよね。
1.テレビ
特定の番組で学べるものもあるかと思います。私はどちらかというとスポーツ畑なので、以下の番組を参考にしたことがあります。
プロフェッショナル 仕事の流儀
奇跡のレッスン
民法でも面白い番組もありますが、少し演出や「お涙頂戴」の部分が強く出てくるので、学ぶという点ではもう一歩というところでしょうか。
2.youtube
面白いyoutuberの中に、ビジネス系や話し方などのレクチャーを提供しているコンテンツもあります。
指導の勉強ではありませんが、こちらの方に今ハマっています。
3.本
指導者について書かれている本は、大変多く出版されているので、ぜひ実際に本を手にとって見てみてはいかがでしょうヵ。
本を入手する方法としては、
書店
中古本屋
ネット通販
などと、バリエーションが増えていますよね。
個人的には実際に店舗に行くとたくさんの本が目にとまるので、ぜひ皆さんに足を運んで、手にとってもらいたいと思っています。
4.現場
実際に現場に足を運んで学ぶという方法があります。
かつての名将たちも実際に足繁く通っていることもありますし、門戸を広く開放していることもあるようです。
アポイントメントを取って、実際に足を運ぶということはかなりハードルは高いですが、名指導者は後進育成にも熱心な方が多いかと思いますので、勇気を出して連絡して、実際に行ってみてはいかがでしょうか。
学ぼうという気持ちがあれば、どんなことからも学んでいけるかと思いますので、上記の方法に囚われず、いろいろなコンテンツから学んでみるといいと思います。
私も実際、漫画が好きなので、そこから多く学んだこともあります。
学び続けて、指導者としての質をあげ、良い指導を子どもたちに提供できるように頑張っていきましょう!
続・あなたはどのタイプ?〜指導者を3つに分類〜
1つ前の記事で、フィードバックの種類に応じた指導者の分類をしました。
どんなタイプがあったかというと、
1.いいところをどんどん引き出すタイプ
2.ガンガン、ダメ出しするタイプ
3.ストイックに“こうした方がいい”と伝えるタイプ
この3つでしたね。
詳しくは、前回の記事をぜひ読んでみてください↓↓
今回はこれらのタイプについて、どのような対象者に向いているかや指導における注意点を挙げていきます。
1.いいところをどんどん引き出すタイプ
こちらは、ポジティブフィードバックを多用する指導者です。割とテンション高めに楽しいレッスンを展開することができます。
向いているタイプ
幼児など小さい子
初心者など、まだ右も左も分からない人
実力はあるけど、自信がない人
注意点
学年が上がってくると「この人は適当に褒めているだけでは?」と信用されなくなりがちです。高学年くらいから声かけの仕方を工夫する必要があります。抽象的に「いいね!」「OK!」などと言うよりも、具体的にどこがいいのかを褒めていきましょう。
また、幼児などの小さい子相手には、こちらのテンションも高く
「すごいね〜!」
などと声をかけてあげると喜ばれますが、
高学年から中高生くらいの年代は
「なんだコイツ...」
と思われてしまうので、落ち着いた声かけの方が喜ばれます。
2.ガンガン、ダメ出しするタイプ
スポ根の時代はこういった指導者が多かったので、最近は減少傾向でしょう。しかし、相手と信頼関係を築けていることが前提ですが、こういった指導者が必ずダメということではありません。
向いているタイプ
経験が長く上達が停滞気味な大人
競技志向とレク志向の間くらいの部活生(中堅層くらい)
注意点
ダメ出しされることは大人でも気持ちいことではないので、怒鳴ったり、真面目なトーンで言い続けると相手に嫌がられてしまいます。
なので、明るいトーンで楽しい雰囲気を出しながら、
「〇〇さーん、それじゃあダメだよー!もう1回〜!」
などと言いながらやるといいかと思います。
ダメ出しばかりな分、たまの
「それだよ!それそれ〜!」
というような飴がグッと相手の心を打つことでしょう。
関係性がない中で、いきなり踏み込むと相手にかなり嫌がられる可能性があるので、注意が必要です。
また、職人気質な指導者は、明るい雰囲気を出すことが難しいかもしれませんが、レッスンの最後にポジティブな声かけをしたり、ぼそっと出る本音(っぽい)があると教わる側も前向きな気持ちでレッスンの臨めるかと思います。
指導が終わった後には、フランクさを出し、話しかけやすいオーラを出してあげてもいいですね。
3.ストイックに“こうした方がいい”と伝えるタイプ
向いているタイプ
上昇志向が強い競技者
注意点
ガンガン、ダメ出しするタイプと同じように、「こうした方がいい」だけだと相手の自信をなくしてしまう可能性があります。
「私ってうまくなっているのかな?」「なかなか褒めてもらえない」と思わせてしまいます。一見するとネガティブな言葉を使わない分、相手の心を折ってしまう頃合いについて分かりません。
なぜか分からないけど、生徒さんが継続しない先生は、このタイプかもしれません。
相手がプロを目指すようなストイックなタイプであれば、構わないかもしれませんが、たいていの人は自分を認められないと心が折れてしまいます。
相手のことを思っての声かけかと思いますが、しっかりと上達しているところ、できているところを相手に伝えてあげることも非常に大切なことです。
今後、1のタイプの指導者が増えてくることかと思いますが、他の2や3のタイプを求める方もいらっしゃいます。
優秀な指導者は、対象によってどのタイプかを使い分けますので、みなさんも上手に使い分けられるようになってみましょう。
あなたはどのタイプ?〜指導者を3つに分類〜
今回はフィードバックの種類を紹介し、指導者のタイプについて触れていきたいと思います。
フィードバックの種類は大きく分けて3つあります。
- ポジティブフィードバック
- ネガティブフィードバック
- コレクティブフィードバック
1つずつ、どのようなフィードバックかを見ていきましょう。
ポジティブフィードバック
“ポジティブ”があるように、肯定的なフィードバックです。
簡単に言うと、<褒める>です。
「いいね!」
「その腕の振りでOK」
など、肯定的な声かけをすることを指します。
ネガティブフィードバック
こちらは、皆さんの予想通り、否定的なフィードバックです。
「それじゃダメ!」
「腕の振りがなってないなぁ」
などの否定的な声かけを指します。
※あくまで、“やったこと”に対しての声かけなので、「お前はダメだ!」などの人格否定はここの中に含まれません。
コレクティブフィードバック
こちらは矯正的な声かけです。
否定とセットで使われやすいですが、正しい動作に導くときに使われます。
例えば、
「もっと高く!」
や
「上から下に腕を振り下ろすんだよ」
などの適切な動作を伝えるときのフィードバックです。
さて、あなたはどのタイプ?
3種類のフィードバックについて、お伝えしました。
さて、あなたはこの3つのどのタイプでしょうか?
もちろん、1種類の声かけをする人はいないでしょうが、
自分の声かけを振り返ってみると意外と偏っていることかと思います。
- いいところをどんどん引き出すタイプ
- ガンガン、ダメ出しするタイプ
- ストイックに“こうした方がいい”と伝えるタイプ
自分の指導を録画したり、音声を録音して、相手にフィードバックしている回数と内容を分析すると自分がどのタイプか、分かるかと思います。
それぞれのタイプについては、次の投稿で触れていきたいと思います。
+α
ちなみにフィードバックの種類は、さらに具体的かと抽象的かによっても分かれます。
なので、さらに、
ポジティブ ー具体的(細かく足を動かせているね)
ー抽象的(じょうず!)
ネガティブ ー具体的(足を動かしていないのがダメだ!)
ー抽象的(全然ダメ!)
コレクティブ ー具体的(右足をもう少し後ろにして)
ー抽象的(もっと!)
の6つに分けることができます。
具体的にどこがいい/悪い/直す、という声かけか、
ふんわりといい/悪い/直す、という声かけかということです。
これらのフィードバックについて理解して、上手に声かけをできるようにしたいですね。
知っておくべき2つの心理学の効果
心理学について学ぶことは、指導者においては欠かせないことです。
教科、生活、スポーツと教えるモノは違っても、相手は"人"なので、心理学を学んでおくとより効果的に指導することに繋がります。
今回はその心理学の中で2つ、皆さんに覚えておいてほしい心理学で発表されている効果について取り上げます。
ゴーレム効果
まず1つはゴーレム効果。
これは他者もしくは自分自身が期待をしていないと自分のパフォーマンスが低下してしまう、負の成長(その期待しない方向へ行ってしまう)をしてしまうというものです。
中には、「何クソ!」と思い、奮起する人もいるかもしれませんが、そういう人は自分自身で自分に期待できている人かと思います。
ただ、指導者としては、指導する相手に期待せず、その通りになってしまうのは本望ではありませんよね。
多くの人を指導する中で、自然と「こいつは伸びしろある」「コイツはダメだ」と思ってしまうこと、ありますよね。
ただ、「ダメだ」と思ってしまうことで、相手の成長の足を引っ張ってしまうことになります。
ピグマリオン効果
次に紹介したいのは、ピグマリオン効果です。
こちらはゴーレム効果よりも有名なのではないでしょうか。
ピグマリオン効果はゴーレム効果とは、逆に「指導者から期待された分だけ、成長する、パフォーマンスを発揮する」というものです。
言葉だけの表面的なものではなく、心からそう思うことが非常に重要かと思います。
なぜかというと本心というのは、言動の端に出やすいからです。心から思っているかどうかというのは、相手に伝わりやすいかと思いますので表面を取り繕うのではなく、しっかりと相手に期待をかけてあげることが求められます。
私も言動に課題がある子どもたちを指導してきましたが、「絶対にこの子はできる」と思い、その子にもそういう声かけを続けました。もちろん、私だけの成果ではありませんが、その結果、その子たちの言動は確実に変わっていきました。
期待し続けることは、とてもエネルギーが必要です。しかし、期待をかけることにより教える相手がいい成長を遂げるのであれば、ぜひやりたいですよね。
本人の実力に合わない過剰な期待は、逆に本人自身の期待を削ぐことになってしまうので、注意が必要ですが、まずは指導する相手の可能性を信じることが、私たち指導者に常に求められるかと思います。
ぜひ教え子のみんなのことを心の底からしんじてあげてください。
指導者が絶対にやるべきたった1つのこと
指導者になる上で、欠かせないスキルは数多くありますが、実際に指導するときに必要になるのは、
分かりやすくする(構造化)
です。
視覚的にもそうですし、言葉をきちんと精査し、分かりやすいものを用いることが求められます。もちろん、課題として簡単なものを用意するということではありません。
教えを受ける人たちにとって、
指導される内容が明確
やる内容が明確
であることが、上達への近道です。
1.場を整える
空間を整えましょう。教室内であったり、グラウンドであったりを整え、
どこに何をおけばいいのか、
何時まで何をすればいいのか
ということをわかりやすくしましょう。
テープで示したり、
かごを置き、絵や文字で示したり、
空間の構造化が進むとどんな人でも過ごしやすくなります。
レッスンを受ける以前のストレスが減るので、学びに集中することができます。
<空間のコーディネート例>
*校庭をイメージ/白線やコーン(マーカー)で区切る
休憩ゾーン:休憩場所。だれてもよい。
共有の道具:共有の道具を置く
自分の道具:自分の道具を置く
見学ゾーン:メニューには入らず、練習を見て学ぶ場所。ふざけてはいけない。
練習ゾーン:真剣に取り組む人だけが入れる。
応援ゾーン:保護者や応援する人がここにいる。練習・見学ゾーンには入れない。
など
2.言葉を整える
用いる言葉を整えましょう。
いきあたりばったりで説明していると、何を説明されているか生徒たちは混乱してしまいます。
どのような順番で説明するか、筋道を事前に立てられると説明するときにこんがらがりません。
ーーー
ーーー
また、難解な言葉を使っているとこれも生徒たちはわかりません。
意図的に使用しても構いませんが、言い換えができるように、分かりやすく噛み砕けるように準備しておきましょう。
3.メニューを整える
最後に、ここが一番大切です。実際にやるメニュー(指導内容)を整えておきましょう。
このメニューは、
何を意図しているのか
どのように本番で生かされるのか
が整っていないと、メニューの効果が半減します。
ここで、考える力を培うため、生徒たちに意図を伝えず自分たちで考えてもらってもいいですが、中身がなかったら生徒たちもその意味を汲み取ることができません。
また、やる内容が分かりづらいとメニューを始めることができません。
もちろん、実際にどのようにやるか難しいものもあるかと思いますが、”あえて混乱させる”という意図がないのであれば、分かりやすくする方がいいでしょう。
まとめ
もちろん整えたつもりでも実際にやってみると、全然整っていなかった!ということがよくあります。
完璧に整えることは、非常に難しいですが、だんだんと自分の指導スキルとして蓄積していきます。めげずに積み重ねていきましょう。